叶うまでは


【前回までのあらすじ】

労力を投じれば比例して見合った成果が出てほしいと多くの人は願っている。
しかし現実においてほとんどの場合、必ずしもそうはならないものだ。
勉強した分だけ成績がすくすく伸びるなんて学生時代を送った人は少数派だろうし
スポーツなどでひたすら練習しても、すぐに苦手を克服できる人は多くないはずだ。

努力が目に見える形で結果を出さないと、人は焦りを覚える。
自分のしていることに自信がもてなくなり、努力そのものをやめてしまうかもしれない。
そして「才能がない」「要領が悪い」など、失敗する理由を探し始めることになる。
誰もが「継続が力になること」を理解しているが、それを信じ続けることは容易ではない。

そんな不安定でふわふわな性質を持った「努力」というものをテーマに
MTGの能力語になぞらえて今年の抱負を考えるというのが前回の話題提起であった。


【前回のコメント返し】

前回日記について、努力とは「長久」のようなものではないかとコメントがあった。
「長久」とは、記憶に新しいタルキールブロックの能力であり
アブザンの民の忍耐・執念を見事に表現した傑作能力である。主にリミテで活躍した。
忍耐というフレーバーが「努力」にぴったりとハマっており、なるほどと思う。

しかし「長久」はコストをつぎ込むと比例して即時に効果を生むタイプの能力である。
今回定義した「努力」は、すぐには成果として見えてこない前提なので若干異なる。
努力と成果が容易く比例するのであれば、そこで悩む人もいなくなるであろう。

なので残念ながら私の想定していたものとは違っていた。
もちろん「長久」のように順調に努力を成果につなげる人もいるだろうし
そもそも正解不正解といった話ではないので気にやまれないように願いたい。


【本題】

「閾値」という概念を皆さんは学校で習ったことがあるだろうか。
感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの量を指す。

閾値の性質はこの世の多くの現象に表れる。
例えば水という液体は自然条件下では、10℃や1℃まで低温になっても水のままだが
0℃以下を境に凍り始め、固体へと性質を変化させる。
また、水に熱量を与え続けても99℃までは水のままだが
100℃を越えたとたんに沸騰をはじめ、気体へと性質を変化させる。(蒸発は別現象)
このことを相転移という。閾値を越えたときにはじめて性質が変化するわけだ。

他の例でいくと、筋肉や神経は一定以下の刺激を受けても反応を示さないが
閾値を超える量の刺激を受けると反射反応を示す。(全か無かの法則)

受験で70点以下が足切りであるとき、これもまた閾値と呼べるかもしれない。
30点も69点も等しく不合格となり、閾値を超えればとりあえず合格だ。

総じて、一定に満たない値を入力しても変化が得られないことが分かる。


もしあなたがエフェクターをこねくり回すタイプのギタープレイヤーだったり
マスタリングを自分で行うミュージシャンであるなら、閾値はさらになじみ深いだろう。
よく使われるリミッターやコンプレッサーというエフェクトは、
一定の閾値を超えた音量を出すと、その部分の音のみを圧縮する機能をもつ。
閾値に満たない音に対しては、基本的に効果を及ぼさない。


このとき、閾値についてあなたはツマミを回してパラメータ設定することができる。
このパラメーターは、一般的に閾値の英訳である「スレッショルド」と呼ばれている。


【スレッショルドを越えていけ】

勉強でもスポーツでも仕事でも、努力量が綺麗に成果と比例することは稀だと思う。
しかし努力を続けていったとき、いつのまにか出来るようになっているのである。
このことから努力には開花するための閾値、スレッショルドがあると考えられる。

もしあなたが努力をしているのに中々成果が実らないのであれば
その努力はきっと無駄になっているのではなく、あなたのなかに蓄積されている。
だから結果がすぐに得られなくとも焦る必要はない。

今は目に見えなくとも、努力というエネルギーを注ぎ続ければ
あなたの中でスレッショルドを超えたときに何かが開花する瞬間が訪れるだろう。
諦めという形で努力を途中放棄すると、スレッショルドを永遠に超えることはない。


あなたが目標に向けて努力し始めたなら、ともかく大切なのは「やりきること」だ。
諦めるなんてことは死んだときにでもすればいい。



そんなわけで私の今年の抱負は「スレッショルドを越え続けること」とさせていただいた。
最後にMTGのフレーバーテキストを引用して当記事の結びとしたい。


「冬にリスが地下に入るのを見た者は、春に出てくるものを見て仰天する。」

あなたはクロ―サの獣となれるだろうか?




【蛇足後記】


コストに対して結果が将来的に発生する「待機」も努力と挙動が似ているが
フレーバー的に不適切なのとコストの継続性がないので今回は不採用とした。

また、別に昂揚でもスレッショルドと似たような挙動なんだけど
閾値そのものを意味するスレッショルドの方が説明しやすかった。
なお「努力」と「スレッショルド」で検索すると、自己啓発的な記事が色々ヒットするぞ。
つまり今回の記事は電波ではなく一般論として通用するんじゃないかな。(適当)


相転移のくだりは過去何度も日記で触れたけどマリワカリスペクト。
相転移⇒閾値⇒スレッショルド!のマジカルバナナで今回記事を書いたけども
今回の文章ではあの感動を表現できなかったなぁと思う
僕も相転移したいな~僕もな~


今年もしかしたらアニメ化放送されるかもしれないJOJO第5部は
「真実に向かおうとする意志」と「結果主義」の対決がメインテーマになっている。
向かおうとする意志は、スレッショルドの達成に必要不可欠なものだ。
誠実に努力を積み重ねず結果だけを求める者は、いずれ滅ばずにはいられない。

「スレッショルドを越えない努力は無価値」みたいな論調のサイトを見かけたけど
向かおうとする意志が大事だと僕は思う。

向かおうとする意志さえあれば、いつかはたどり着くだろう?
向かっているわけだからな・・・違うかい?


今回の長文記事を読まなくても大体趣旨が伝わる楽曲がこちら
 https://www.youtube.com/watch?v=sbyMk6vboMg  

    (楽曲; Don’t let it go  歌っているのは槇原敬之って言ったら皆信じそう)



ので寝る!

コメント

nophoto
ゆらりん@ログアウト中
2017年1月10日19:35

・長久
「長久」は一気にP/Tが上がるのではなく、“時間をかけて少しずつ”P/Tが上がっていく能力なので、個人的にはリアルな感じがしましたねー。
人間の努力も 一気にたくさん報われる事はなく、“時間をかけて少しずつ”報われていくものなので、そういう所がリアルに思いました。


・桃栗三年 柿八年(ことわざ)
何事も、かなり長い期間 努力をし続けないと、なかなか伸びないですよねー。
実際、これまでの人生で「なんで この良い解答に気付くのに、何年も何年も時間がかかったんだろう…」という事が結構あります…。苦笑

でも、人生そんなもんですよね!!

庭師colors
2017年1月10日20:49

>長久
ぶっちゃけ今回は相転移とかギターエフェクトの話がしたかっただけなので
逆算して閾値の話につながるスレッショルドを採用しました(本音)


>桃栗三年 柿八年
まさにスレッショルドを表したことわざですね。
食べられる実を得るには時間がかかる、途中で諦めては何一つ得られないものです。

文豪・武者小路実篤はそれに続けて「達磨は九年で俺は一生」と付け足したそうです。
達磨法師は9年の座禅の末で悟りを開いたと伝えられていますが
自分自身が実るには一生涯かけて精進し続けるんだという心意気を表したとか。

今知ったばかりですが非常に感銘を受けました。

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